PM2.5という言葉、ご存じですか?
恥ずかしながら、私もタイに来るまでその存在を知らずにいました。
PM2.5とは、大気汚染の原因となる非常に小さな粒子のこと。粒子が微細すぎて、肺の奥深くまで入り込んでしまう怖いやつです。
最近のタイでは、このPM2.5の数値が再び上昇傾向にあり、「健康に良くない」という日が続いています。
そこで今回は、“今”(2025年)のタイの大気汚染の状況、政府や私たちが取れる対策を、ちょっぴり情緒豊かなエッセイ調でご紹介します。
タイの大気汚染、2025年の最新版を覗いてみる
バンコクの今の空はどう?
タイ在住の方も旅行者も、“AirBKK”や“Air4Thai”アプリで、日々PM2.5の数値を気にしているのではないでしょうか。
2025年1月下旬、バンコクでは全50区にわたってPM2.5が「オレンジレベル」(健康に影響あり)になり、平均濃度は88.4 µg/m³と、国の基準(24時間平均37.5 µg/m³)を大幅に上回りました。
中でもNong Khaem区などでは100 µg/m³を超える箇所もあり、まるで薄暗いスモッグ映画のワンシーンのよう。
その後も、マップ上の全区で「オレンジ」判定が続き、1月24日の時点ではバンコクが世界の中でもっとも汚れた都市の一つとしてランクされました。
子どもたちへの影響は?
ほんとうに胸が痛む話ですが、UNICEFの報告によれば、タイ国内で約1,360万人もの子どもたちが深刻なPM2.5汚染の影響を受けているとされています。
これは数字以上に、「未来への不安」として重くのしかかってくる事実です。
政府の取り組み、強化中!
2025年、政府はこうした課題に対応して動いています。
- 公共交通の無料化(1月25日から1週間ほど)— 通勤時間の車使用を減らす狙い。
- 焼畑やごみ焼却などの大気汚染元への罰則強化。
- 排ガスの濃い車へのチェックポイントでの停止義務と修理猶予を短縮。
- クラウドシーディング(人工的に雨を降らせる技術)の実施。
- 学校の休校、テレワーク導入、“ダストフリー教室”の設置など。
まさに総力戦。”空気を整える”ために、これまで以上に具体的な手が打たれてきているようです。
最新技術も登場:空気清浄タワー “Fahsai”
研究機関が開発した“Fahsai”と呼ばれる空気清浄タワーも都市部に設置が始まっています。1時間あたり12万立方メートルの空気を処理でき、粒子をカットして大気を浄化する革新的なデザインです。
知っておきたい日常の対策
私たちにもできること、ありますよ。
- マスクは、N95などPM2.5対応のものを。
- 外出は控えめにし、特に朝晩のピーク時間帯は室内待機を。
- 空気清浄機や窓の密閉で室内環境を整える。
- 公共交通を利用し、不要な車の利用を避ける。
ほんの少しの注意が、喉や呼吸器へのダメージを緩やかにしてくれます。街の景色が霞んで見えるとき、「今日は大気が重たいな」と、心がざわつくこともありますよね。
まとめ:私の想いを込めて
こうして改めて、タイの大気汚染問題を2025年現在の視点で見つめてみると、切実さと希望の間で揺れている自分に気づきます。
道ばたにできたクラウドシーディングの雲や、子どもたちの教室に設置された清浄機、無料の電車に乗る通勤者の列……。これらはすべて、“未来のために動く今”の姿だと思います。
それでも、UNICEFが示すように、1,360万人の子どもたちが深刻な影響を受けていると知ると、その一人ひとりの笑顔のために、もっとできることがあるのでは?と胸が締めつけられます。
でも同時に、技術と政策が少しずつ前進しているのも確か。Fahsai、無料交通、クラウドシーディング、厳しい排ガス規制—どれも、“空気に希望を届けよう”という強いメッセージに思えて。
個人としてできることは限られているかもしれない。でも、みんなが少しずつ意識を変え、行動することで、きっと汚れた空にも青が戻ってくるはず。
だから私は、今日も窓をきゅっと閉めて、マスクを手に持って、深呼吸する。そうした日々の積み重ねが、いつかすべての子どもたちに“安心して呼吸できる未来”をプレゼントできると、信じたいのです。
あなたもどうぞ、空を見上げて、一緒に呼吸の安心に思いを馳せてみてください。