タイで働き始めると、日本とは違った面が驚くほどはっきり見えてきます。
その違いには、ちょっと戸惑うものもあって、でもそこで学ぶことも多い。
これからタイで働く方、あるいはすでに働き始めている方にも、最新の2025年事情を交えて「タイらしさ」をお届けできたらと思います。
タイの職場環境や就業ルールで、日本と違うなと感じたポイント
「決められた仕事しかしない」文化の奥深さ
海外在住者あるあるかもしれませんが、タイ人スタッフは「これが自分の仕事」と境界線をはっきり引く傾向があります。
購買担当者が、たとえ手が空いていても他部門の仕事に手を出さない……そんな姿、見かけたことありませんか?
いやいや、もう少し柔らかく、チームでカバーしようよと感じつつも、この合理的な分業意識、実はタイの文化や労働構造からきているのかもしれません。
サッと辞める、その潔さ
日本では「お世話になりました」から始まる退職メールが普通ですよね。
でも、タイでは「午前までいたのに、午後にはもうLINEで“辞めます”」なんて展開も。
私の職場でも、前兆なく姿を消す同僚が少なくありませんでした。でも、これは責任感のなさというより、対立を避けるタイらしい「角を立てない離れ方」なのかもしれません。
従業員をきちんと守る制度と安心感
有給や残業代、遅刻の取り扱い……日本より緩やかだけど、労働者の権利はしっかりと守られています。
2023年には在宅勤務も法的に認められ、上司の大きな干渉なしに「定時内の連絡でOK」と明文化されたり。}
さらに2025年には、従業員福祉基金への企業負担が義務化され、10人以上のスタッフを持つ会社は、離職・死亡時の支援制度を制度として構築する必要が出てきました。
2025年以降、新たに注目したい変化や法改正
1. 賃金制度の見直し
2025年7月からはバンコクをはじめとする主要なエリアで、最低賃金が一律THB400(日約1,500円弱)に引き上げられました。特に観光地やエンタメ業界ではすでに適用が進んでいて、労働環境へのポジティブな影響が期待されます。
2. 家族・育児休業の充実
2025年には、母親だけでなく父親も含めた有給の家族・育児休業制度の改善が進行中です。まだ詳細は詰められている段階ですが、企業は早めに対応方針を検討しておくと安心です。
3. 安全・健康・差別への配慮と改正動向
職場の安全衛生規制が強化され、万が一のストライキやロックアウトにも備える必要が出てきています。
そして社会的には、大きな一歩として、2025年1月にはタイで同性婚が法的に認められるようになりました。また、反差別法案も進行中で、性別・年齢・宗教・性的指向などによる職場での差別に対する法的保護が強められていく見込みです。
タイの職場文化で大切にしたい「Sanuk(楽しむ)」精神とコミュニケーションのコツ
タイの「Sanuk(楽しさ)」精神は、職場の大切な文化です。
業務の合間に小さな笑いが生まれる瞬間や、同僚とランチを囲む時間が「Sanuk」の代表格。
この働きやすさを味方につけると、自分らしく輝ける空間になる気がします。
コミュニケーションのポイント
- 敬意のある挨拶「ワイ」を適切に使うことで、相手へのリスペクトを自然に表現。
- 上下関係を大切に、上司には「Khun+名前」で呼びかける習慣。<Khun Tan>など。
- 直接的な否定や批判を避ける文化なので、表情や言い方に気を遣ってフィードバック。
- 曖昧な理解を避けるため、指示は繰り返し確認。「念のためここまでで合ってますか?」と確認するのが吉。
まとめ ― タイで働くということ、そこにある「柔らかさ」
個人的な実感ですが、タイの仕事環境は、確かに日本より自由でのびのびしている。
「ここからは自分の領域」「そこで辞める潔さ」「権利として守られる安心感」。そんな違いが、日本ではありえない新鮮な体験になりました。
法制度は日々変わり、2025年は仕事を取り巻く環境がさらに整っていく年。
私たちが気をつけるべきは、固有ルールに染まりすぎず、それでも大切な礼儀と柔軟さを忘れないこと。
仕事と遊び、責任と楽しさ、その境界線がゆるやかに溶け合うようなタイの職場で、自分らしい働き方を見つけられたら、それってとても幸せなことだと思います。
2025年のタイでは、働くことがもっと人間らしく、優しく、そして心豊かなものになっていく予感がします。
あなたのタイでの日々が、柔らかな光に包まれるような、そんな働き方になりますように。