アベイラビリティゾーン(AZ)とは?
AWSの「アベイラビリティゾーン(Availability Zone、以下AZ)」は、クラウドサービスの信頼性を支える重要な仕組みです。AZは、AWSリージョン内にある地理的に分離された複数のデータセンターのグループを指します。各データセンターは独立した電源や冷却設備、ネットワークを持ち、障害が発生しても影響を最小限に抑えられるように設計されています。
AZの最大の特徴は、地理的に分散されていることです。たとえば、1つのデータセンターが停止しても、同じリージョン内の他のAZが稼働を続けるため、システム全体が停止するリスクを減らせます。この仕組みによって、企業は安定したサービスを提供し続けることができます。
AWS以外のクラウドプロバイダーも、AZに似た仕組みを提供しています。以下は、主要なクラウドプロバイダーでの呼び名です:
– AWS: Availability Zone(AZ)
– Microsoft Azure: Availability Zone
– Google Cloud Platform(GCP): Zone
– Alibaba Cloud: Zone
– Oracle Cloud: Availability Domain(AD)
名前は異なりますが、どれも地理的に分散されたデータセンターを利用して、システムの安定性や信頼性を高める仕組みです。
AWSが2025年1月に開設したタイランドリージョンには、複数のAZが用意されています。これにより、タイ国内でクラウドを利用する企業は、より素早く安定したシステムを構築できる環境が整いました。日系企業にとっても、事業を止めない仕組みを作るための新たな選択肢となります。
なぜアベイラビリティゾーン(AZ)が必要なのか?
クラウドを活用する上で、AZは欠かせない仕組みです。特に、システムを安定して動かし続けることや、トラブルが起きても事業を止めないことを実現するために必要です。以下に、AZが必要な理由を具体的に説明します。
システムを安定して動かすため
ビジネスでは、システムが常に動いていることが重要です。AZは、地理的に分散された複数のデータセンターを利用します。これにより、1つのAZに問題が起きても、他のAZが動き続けます。そのため、システム全体が止まるリスクを減らせます。
災害が起きたときの対策
自然災害や停電などのトラブルは、いつ起きるかわかりません。AZは、物理的に離れた場所にデータセンターを配置しています。これにより、1つのエリアが災害に見舞われても、他のAZがデータやサービスを引き継ぎます。これによって、システムを素早く復旧させることができます。
データを安全に守るため
AZを利用すると、データを複数の場所に分けて保存できます。これにより、データが失われるリスクを大幅に減らせます。たとえば、AWSの「Amazon S3」というサービスでは、データを自動的に複数のAZにコピーして保存します。この仕組みにより、企業は安心してデータをクラウドに預けられます。
事業を止めない仕組みづくり
日系企業がタイでビジネスを行う際、システムが止まることは大きな損失につながります。AZを活用して、複数のAZにシステムを分散させることで、トラブルが起きても事業を続けられる仕組みを作れます。これにより、24時間365日稼働する環境を実現できます。
タイランドリージョンのメリット
AWSタイランドリージョンでは、複数のAZが提供されています。これにより、タイ国内でのクラウド利用がさらに便利になりました。データを国内に保存しながら、素早く安定したシステムを構築できます。また、タイ政府の規制やコンプライアンスにも対応できます。
AZ活用で得られる具体的なメリットと実際の仕様例
AZを活用することで、企業は信頼性の高いシステムを構築できます。ここでは、AZを活用したAWSの具体的なサービス例と、AZがない場合のリスクを紹介します。
AWSサービスの具体例
Amazon RDSのMulti-AZ配置
Amazon RDSは、データベースを簡単に管理できるサービスです。このサービスでは、「Multi-AZ配置」という機能を利用できます。この機能では、データベースのメインのサーバーとバックアップ用のサーバーを別々のAZに配置します。メインのサーバーに問題が起きた場合でも、バックアップ用のサーバーが自動的に引き継ぎます。これにより、システムの停止時間を最小限に抑えられます。
Amazon S3のデータ分散
Amazon S3は、データを保存するためのサービスです。このサービスでは、データを自動的に3つのAZに分散して保存します。これにより、1つのAZで問題が起きても、他のAZに保存されたデータを利用できます。これによって、データが失われるリスクをほぼゼロにできます。
Elastic Load Balancing(ELB)のマルチAZ対応
ELBは、システムにアクセスする人が多いときに、負荷を分散する仕組みです。この仕組みでは、複数のAZにトラフィックを振り分けます。これにより、1つのAZで問題が起きても、他のAZがトラフィックを処理するため、システム全体を安定して動かせます。
AZがない場合のリスク
ローカルクラウドやオンプレミスでは、AZのような仕組みがない場合があります。この場合、以下のリスクが発生します。
1つの障害で全体が止まる
ローカルクラウドでは、データセンターが1か所に集中していることが多いです。障害が発生した場合、システム全体が停止するリスクがあります。
災害への弱さ
ローカルクラウドでは、地理的に分散されたデータセンターがないため、災害や停電に対する耐性が低い場合があります。
データが失われるリスク
ローカルクラウドでは、データのバックアップ体制が不十分な場合があります。これにより、データが失われるリスクが高まります。
まとめ
ここまで、AWSのアベイラビリティゾーン(AZ)の仕組みやメリットについて解説しました。タイでのクラウド活用において、AZを活用することでシステムを安定して動かし続けることや、災害への備え、データを安全に守ることが可能です。
特に、タイランドリージョンの開設により、日系企業は国内でより信頼性の高いシステムを構築できる環境が整いました。この記事が、タイでのクラウド活用やシステム設計の参考になれば幸いです。