海外移住を検討する日本人にとって、タイは今なお人気の移住先です。
2025年現在、タイに暮らす日本人はおよそ8万人。そのうちバンコクには約5万5千人が暮らしており、アジア圏ではシンガポールと並んで有数の「日本人コミュニティ都市」となっています。
駐在員として家族と共に滞在する人、現地就職や起業をして根を下ろす人、リタイアメントビザを活用して悠々自適に過ごす人…暮らし方はさまざまです。
多くは賃貸住宅での生活ですが、近年は「タイで自分の持ち家を持ちたい」と考える方も増えてきました。そんな時に選択肢になるのがコンドミニアム購入です。
この記事では、タイで外国人がコンドミニアムを購入する方法や流れ、相場感を、筆者目線でわかりやすくご紹介します。
タイの集合住宅の種類
タイには大きく分けて次のような集合住宅があります。
- コンドミニアム:日本でいう分譲マンション。部屋ごとにオーナーが異なり、外国人も購入可能。
- アパートメント:建物全体を1人(1社)が所有し、賃貸専用。購入は不可。
- サービスアパートメント:ホテルのような清掃・リネン交換などのサービス付き賃貸物件。
外国人が購入できるのはコンドミニアムのみです。
ただし条件があり、「建物全体の51%以上がタイ人所有」であること。ほとんどの物件はこの条件を満たしますが、中国人投資家の所有割合が多い物件などもあるため、購入前に必ず確認する必要があります。
エリア別コンドミニアム販売価格の相場(2025年版)
外国人に人気の購入エリアは以下の通りです。
1.スクンビットエリア
日本人に一番人気のエリア。アソーク〜トンロー周辺は日本食レストランや日本語対応の病院も揃い、生活の安心感は抜群です。
2025年現在、プロンポン〜トンロー北側では、70㎡・1ベッドルームで600〜900万バーツ(約2,600〜3,900万円)が相場。ラグジュアリー志向の人には特におすすめ。
2.シーロムエリア
オフィス街として知られるシーロムは外国人ビジネスマンに人気。
スクンビットほど日本人向けの施設は多くありませんが、都心へのアクセスが良好。
価格は500〜650万バーツ(約2,200〜2,800万円)と、スクンビットより少し手頃です。
3.チットロムエリア
ルンピニ公園北側、日本大使館や高級ホテルが集まるエリア。セントラルワールドやサイアムパラゴンも徒歩圏内で、バンコクの中でも特にエレガント。
価格はスクンビットの高級ゾーンと同水準。英語環境での暮らしを楽しみたい欧米人に人気です。
4.新興エリア(オンヌット・ラマ9など)
近年注目されているのがオンヌットやラマ9世通り周辺。大型スーパーやショッピングモールが整備されつつあり、都心に近いのに価格は手頃。
2025年現在、400〜550万バーツ(約1,000〜1,200万円)で購入可能です。
コンドミニアムの探し方
探し方は大きく分けて「新築」と「中古」で異なります。
- 新築:広告やモデルルーム、ショッピングモールの販売ブースなどで紹介されています。プレビルド(建設前販売)が主流。
- 中古:管理事務所に直接問い合わせるか、日系不動産会社を通じて購入。日本語対応が可能で安心。
注意点として、新築は完成遅延や資金難による工事中断のリスクがあります。一方で中古は即入居できるのが魅力。
ライフスタイルやリスク許容度に応じて選ぶのが賢明です。
コンドミニアムを購入する流れ
1.売買契約書の作成と締結
契約書は英語が望ましく、仲介には日系不動産会社を利用すると安心。
仲介手数料は売買価格の2〜3%程度です。
新築の場合は頭金10%+分割払い、中古は手付金10%+残金一括が一般的。
2.購入資金の送金
外国人は基本的にローンが組めないため、現金一括購入となります。
日本の銀行口座からタイの銀行口座へ送金し、送金証明書(Foreign Exchange Transaction Form)を取得する必要があります。
2025年現在も外国人の銀行口座開設は厳しく、ビザ保持や預金条件が必須です。
3.物件の登記
各地の土地局で登記を行います。発生する税金は以下の通り。
- 中古物件:登記移転税(評価額の2%)の半額を買主負担。その他の税は売主負担が一般的。
- 新築物件:移転登記税(2%)の半額を買主が負担。
日本と比べると税金や諸費用が少なく、シンプルに購入できるのが特徴です。
まとめ
タイでのコンドミニアム購入は、思っているよりも簡単で手続きもシンプルです。ただし、物件選びや生活環境は慎重に。
バンコクは渋滞や騒音、洪水リスクなど、日本とは違う生活課題もあります。ですから最初の1年は賃貸で暮らしてから購入を検討するのが安心です。
個人的には、スクンビットの利便性には惹かれつつも、少し落ち着いたオンヌットやラマ9の新興エリアに「自分らしい暮らしの余白」を感じます。
コンドミニアム選びは、ただの不動産取引ではなく自分の人生にどんな風景を足したいかを決めること。
タイでの暮らしを検討している方は、ぜひ焦らず、心にフィットする住まいを見つけてください。