タイで暮らす日本人は72,000人ほどで、そのうち首都バンコクには52,000人ほどが暮らしています。この人数はアメリカのロスアンゼルスに次いで2番目の多さです。
さらに、タイには小中学生が通う日本人学校が2つあり、そのうちのバンコクの日本人学校は各国の日本人学校では最も多い生徒数です。
タイに居住する日本人の多くは日本の企業から派遣された駐在員とその家族ですが、タイで起業や就職するために移住した方、タイのリタイアメントビザを活用して仕事を退職した後にタイで暮らす方などもいらっしゃいます。それらの人の多くは賃貸住宅に暮らしていますが、ご自身で住居を購入する方もいらっしゃいます。
タイでは外国人は土地を購入することはできないため、ほとんどの方はコンドミニアムを購入します。この記事は、これからタイにコンドミニアムを購入する方のために購入する方法について紹介します。
タイの集合住宅の種類
タイの集合住宅は、日本の分譲マンションをコンドミニアム、賃貸マンションをアパートメント、部屋の清掃やリネンサービスなどホテル並みのサービスがついた物件をサービスアパートメントと呼ばれています。
アパートメントとサービスアパートメントは基本的に物件全体が1人のオーナーのため賃貸専門で、外国人が購入できるはコンドミニアムになります。
さらに、購入できるのは部屋の所有者の51%以上がタイ人の物件に限られています。ほとんどの物件は半分以上がタイ人の所有ですが、中国人が投資で購入している物件もあるため購入前に確認が必要です。
エリア別コンドミニアム販売価格の相場
タイで外国人がコンドミニアムを購入するエリアはバンコクやチョンブリ県のシラチャやパタヤ、チェンマイやプーケットなどになります。コンドミニアムの価格はエリアごとに異なります。
多くの人たちはバンコクのコンドミニアムを購入しますが、その中でも人気のエリアは、スクンビット、シーロム、チッドロムなどです。
これらはバンコクでは高級住宅街と言われるエリアでコンドミニアムの価格も高額です。ここではこれらのエリアのコンドミニアムの価格を紹介します。
1. スクンビットエリア
スクンビットの中心にはアソーク通りが南北に通り、西側のアソークからナナ―にかけてはバーや西洋料理のレストランが集まるバンコク最大の歓楽街で欧米人がたくさん暮らしています。
東側はタイ人富裕層の閑静な邸宅や高級コンドミニアムが立ち並び、プロンポンからエカマイにかけては日本人向けの商業施設やレストラン、日本語の通じる病院や薬局などがあるため、最も日本人に人気のエリアです。
このエリアはバンコクで最も高額で、特にプロンポンからトンローにかけてスクンビットの中心を東西に通るスクンビット通りの北側は、1ベッドルームの70㎡ほどの広さで約600~800万バーツ(約2,400~3,200万円)ほどになります。
2. シーロムエリア
シーロムはバンコク最大のオフィス街でタイや外国企業のオフィスが入るビルが林立しています。BTSのサラディーン駅前の日本人旅行者に人気のカラオケ街「タニヤ通り」には日本食のレストランなどがあり、ソイと言われている脇道を入ると閑静な雰囲気でコンドミニアムやアパートメントが建ち並びます。
その中でもシーロム通りからサトーン通りにかけては外国人に人気ですが、スクンビットのように日本人向けの施設は多くないため日本人はそれほど多く暮らしていません。
こちらの相場は、スクンビットエリアよりは若干安く同じサイズの部屋の場合は500~600万バーツ(約2,000~2,400万円)くらいになります。
3. チットロムエリア
バンコクのオアシスと言われているルンピニ公園の北側で、日本大使館があるワイアレス通りからラチャダムリ通りのエリアになります。
このエリアには外国の大使館が多く、高級ホテルや高層のコンドミニアムが立ち並び、その間にはカフェや西洋料理のレストランがあるバンコクで最もエレガントなロケーションです。欧米人に人気でセントラルワールドやサイアムパラゴンなどバンコクで最も賑わうショッピングスポットにも徒歩圏内です。
このエリアは、日本人向けの施設は無く日本語も通じないため日本人はほとんど暮らしていませんが、英語は通じやすいので海外生活に慣れた方で、インターナショナルな暮らしを楽しみたい方にはおすすめです。こちらの相場は、スクンビットのプロンポン・トンローエリアとほぼ同じです。
4. その他のエリア
これまで紹介したバンコクのエリアはどれも高額ですが、その他にも人気のエリアがあります。
BTSでスクンビットの先にあるオンヌットやMRT(地下鉄)でスクンビットから2駅のラマ9世エリアは新しい高層コンドミニアムが駅周辺に建てられて、都心に近く大規模スーパーやショッピングモールなどもあり、低価格で購入ができます。どちらも駅周辺は高層のコンドミニアムが立ち並び、綺麗に整備されていますが、周辺はバンコクのローカル色が残る雰囲気の街です。
これらのエリアの相場は400~500万バーツ(約800~1,000万円)ほどです。
コンドミニアムの探し方
新築物件は、タイでは住宅販売の広告は日本と同様にあります。また、モデルルームもあるので見学や契約が可能です。また、ショッピングモールなどにディベロッパーが販売ブースを設けていることがあります。ここではコンドミニアムの概要や販売価格などが確認できて契約することもできます。
中古物件の一般的な探し方は、直接コンドミニアムに出向いて管理事務所で販売している部屋の見学や金額の確認ができます。また、日本人向けとしてはスクンビットのアソークからトンローにかけては日系の不動産会社がありま。日本語対応が可能なので英語やタイ語に不慣れな方にはおすすめです。
購入の注意点としては、新築物件は日本と同じようにプレビルドで販売されますが、完成が遅れることが度々あり、ディベロッパーの資金難で建築が途中で頓挫することがあります。一方中古物件はすでに建てられているためそのような心配がなく、すぐに生活や投資ができるためおすすめです。
コンドミニアムを購入する流れ
タイは日本と比べてコンドミニアムの購入は非常に簡単です。ただし、外国の物件を購入するので日本とは異なる購入方法になります。ここでは、タイのコンドミニアムを購入する一般的な流れを紹介します。
1. 売買契約書の作成と締結
売買契約書は売り手や買い手どちらが作成しても構いませんが言語は両者が理解できるように英語が望ましいです。
ご自身で捜した物件でも、契約は日系の不動産会社に仲介してもらうと安心です。仲介手数料は物件の2~3%を支払います。
新築物件は頭金として購入金額の10%ほどを支払い完成までに20%ほど、完成間際に残金を支払います。中古物件は、手付金として10%ほどを支払い、残金は契約時に支払います。
2. 購入資金の送金方法
外国人が購入する場合、ほとんどはローンを組むことはできないため現金での購入になります。資金は日本のご自身の銀行口座からタイのご自身の銀行口座に住宅取得用資金として購入代金以上の金額を一括送金して着金後にタイの銀行で送金証明を発行します。尚、現金を持ち込んでの購入はできません。
尚、2024年1月現在、タイでは外国人の銀行口座開設が非常に厳しくなっています。口座開設の条件としては、長期滞在できるビザの取得ですが、リタイエメントビザは申請段階で銀行口座に一定額の預金があることが条件ですので事前に銀行の口座開設が必要です。
3. 物件の登記
タイの不動産は各エリアに設けられた土地局で移転の登記をしますがその際にかかる税金があります。
(1)中古物件
- 移転登記税(評価額の2%)
- 印紙税(売買価格または評価額の高い方の0.5%)
- 事業税(売買価格または評価額の高い方の3.3%)
事業税は物件所有期間で売却時に課税されます。事業税が適用される場合は印紙税が課税されません。 - 源泉徴収税(評価額と物件所有年数によって計算されます。所有年数が高くなるほど課税率が高くなり、10年が上限です。)
上記の税金の支払いは売買契約によって決められますが、一般的には買主は登記移転税の半額(評価額の1%)を支払い、残りは全て売主が支払います。
(2)新築物件
発生する税金は移転登記税(評価額の2%)で買主はその半分を支払います。
その他、物件が日系の不動産仲介業者を通して購入する場合には成約価格の3~5%ほどが手数料として発生します。
このように、タイの住宅購入は日本と比べて非常にシンプルで支払う税が少なく済みます。
まとめ
タイのコンドミニアム購入の流れを紹介しましたが、コンドミニアムは快適に暮らせることが重要です。タイは熱帯気候のため一年を通して日本の真夏のような気温で、雨季にはスコールがありたびたび洪水が発生します。
また、バンコクでは車の渋滞や騒音も日本の比ではないので、すぐにすぐに購入せずに1年ほどは賃貸住宅で生活してその間に快適に暮らせるコンドミニアムを探すのがおすすめです。