タイ観光業が減速！？その要因を深掘り調査

2025年7月13日

タイの観光業減速が2025年に入り顕著になっています。

特に中国からの観光客の激減が大きな影響を与え、観光収入や外国人訪問者数の伸び悩みが続いています。

本記事では、タイ観光業の現状と減速の要因を多角的に分析し、今後の展望や対策について業界ライターの視点から詳しく解説します。

タイ観光業の現状と2025年の動向

2025年に入り、タイの観光業は前年に比べて減速傾向にあります。

国家経済社会開発委員会（NESDC）の発表によると、2025年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比3.1％とやや鈍化しており、サービス業の伸びも前期より低下しています。

観光関連の宿泊施設や飲食サービスの成長率は7.2％で、依然プラスながらも勢いは減速しています。

また、訪タイ外国人観光客数は約955万人で、コロナ前の水準の約93.8％にとどまっており、完全回復には至っていません。

特に中国からの観光客数は大幅に減少し、これが観光業全体の減速に大きく影響しています。

中国からの観光客激減は、タイ観光業の減速の最大の要因です。

新型コロナウイルスの影響からの回復が遅れていることに加え、中国国内の経済減速や旅行規制の継続、さらには他国への旅行需要の分散が影響しています。

2025年上半期の中国人観光客数は前年同期比で大幅に落ち込み、タイへの訪問者全体の約30％を占めていた中国市場の縮小は、観光収入の減少を招いています。

この減少は、特にバンコクやプーケット、チェンマイなど主要観光地の経済に深刻な影響を与えています。

東南アジア地域ではマレーシアやベトナム、インドネシアなどが観光誘致に力を入れており、タイはこれらの国々との競争に直面しています。

特にマレーシアはインバウンド旅行者数でタイを上回る動きがあり、価格競争力や新規観光資源の開発で優位に立っています。

また、これらの国々は中国市場への依存度が比較的低く、多様なマーケット開拓が進んでいる点もタイとの差別化要因となっています。

タイは多様な観光客層の獲得と新たなニッチ市場の開拓が急務となっています。

タイ観光業の減速には構造的な課題も存在します。

まず、観光収入の大部分を占める中国市場への依存度が高すぎる点がリスクとなっています。

また、インフラ整備や二次交通の未整備、観光地の過密化や環境負荷の問題も指摘されています。

さらに、非公式経済の割合がGDPの約48％にのぼり、観光関連の労働市場も非正規雇用が多いことから、安定したサービス提供や質の向上が課題です。

これらの課題解決が、持続的な観光業回復の鍵となります。

タイ政府は観光業減速に対し、多角的な対応策を打ち出しています。

中国以外の市場開拓を強化し、東南アジア、インド、ロシア、欧米からの旅行者誘致に力を入れています。

また、観光インフラの整備促進やデジタル化推進、観光地の分散化による過密緩和策も進められています。

さらに、観光関連の労働者スキル向上やサービス品質の改善に向けた教育・研修プログラムも拡充中です。